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声帯の病気

声帯結節

声帯結節の主な原因は、声の出し過ぎです。のどの咽頭には左右一対の声帯があり、発声時に声帯同士が接触します。このとき、あまり頻繁に強くぶつかり過ぎると、声帯の両側に結節と呼ばれる病変が形成されてしまうのです。ちょうど、鉛筆で指にタコができるのと似ています。教師やスポーツの指導者、アナウンサー、歌手、保育士など声を出す職業に従事している人の発症率が高めで、スポーツ観戦やカラオケなど大きな声を出す頻度の高い趣味も、声帯結節の危険因子だと言えるでしょう。
主な症状として挙げられるのは、声を出しにくくなることと、声枯れです。診察時には、最初に問診で状況を伺った後、内視鏡を使って声帯の状態を確認します。
変声期までの子どもと変声期以降の若年層や成人とでは、治療過程が異なります。子どもの場合は変声期を過ぎると結節も自然に治癒する場合が多いため、学業や日々の生活に悪影響がない限り、経過を観察しながら発声方法を指導する程度にとどめるのが通例です。必然的に、手術に至る例はそれほど多くはありません。これに対して変声期以降の若年層や成人では、発声指導と保存療法を数ヶ月ほど継続しても改善が認められない場合、手術も選択肢の1つになり得ます。

声帯ポリープ

声帯の毛細血管が損傷すると、声帯ポリープが形成される場合があります。声帯結節とは異なり、左右の声帯のうち一方だけに生じやすいのが特徴です。考えられる原因として、喫煙、過剰な発声、風邪やその他の疾患に起因する声帯炎などが挙げられます。診察時には、最初に問診で状況を伺った後、内視鏡を使って声帯の状態を確認します。
声帯ポリープがある場合、声を使う場面を減らすようにして、喫煙者は禁煙も大切です。声を出し過ぎることがないように、当院では、発声法についても丁寧に説明しています。急性声帯炎が原因で形成されたばかりの声帯ポリープであれば、適切な治療を受ければ比較的短期間で小さくなる可能性もあります。しかし、急性声帯炎以外の原因で、形成されてから相応の時間が経過した声帯ポリープをすぐに消失させるのは、どちらかというと難しいと考えてください。数ヶ月程度の保存療法を継続しても日常生活に不都合がある場合、手術を検討します。

喉頭がん

喉頭がん
喉頭がんを発症するのは、喫煙者が大半です。喫煙者が誰でも喉頭がんになるわけではないですが、喫煙習慣のある人に声のかすれが生じた場合、声帯にがんができる喉頭がんの可能性があります。早期に発見できれば簡単な治療で治癒する率も高くなる一方で、発見が遅れて進行すると、声を失ったり生命に危険が及んだりする可能性もあります。声がかすれているときは、早めに医療機関を受診してください。
当院では、最初に問診で状況を伺った後、内視鏡を使って声帯の状態を確認します。
喉頭がんの治療計画は、がんの進み具合に応じて変わります。早期がんでは、身体に対する負担が小さい手術だけで治癒する場合もあるのに対し、進行している場合、外科手術に加えて抗がん剤治療や放射線治療の併用が必要です。
診察時にがんの疑いがあると判断した場合、高度医療機関を紹介いたします。

声が出にくい、声がれの原因は病気?

声が出にくい、声がれの原因は病気?
かすれて通常とは異なる音質になった声を、嗄声(させい)と呼びます。しわがれ声、ハスキーボイス、ガラガラ声以外に、聞こえにくく弱々しい声も嗄声の一種です。
左右の声帯は、息を吸うと開き、声を出そうとして息を吐くと閉じます。このとき、空気の圧力で声帯が振動するのが、声が出る仕組みです。そして、声のかすれは、声帯の異常が原因です。風邪などの病気が原因でのどに炎症が生じると、声がかすれることもありますが、感染症でないようであれば、加齢による声帯萎縮、声帯結節、声帯ポリープ、喉頭がん、甲状腺がんによる神経麻痺など、疾患が隠れている可能性も考えられます。重篤な疾患を見落とすことがないように、速やかに当院までご相談ください。