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のどの病気

のどに現れやすい症状

のどの痛み

のどは身体の外と直接繋がって空気や食べ物が通る器官です。このためのどの粘膜は、呼吸や飲食による刺激を受けやすいと言えます。刺激によって粘膜に損傷が生じると、身体が自己を守ろうとして炎症反応が生じます。
具体的には、刺激を受けた部位で炎症が起こり、腫れ、発赤、発熱、のどの痛みや乾燥、飲食物を飲み込むときの違和感などの症状が出現します。嚥下の際に痛みを感じることもありますが、これは扁桃や咽頭に炎症が生じた場合です。生活習慣などに起因する場合も多く、食後すぐに横になることによる咽喉頭(酸)逆流症に伴い、午前中のみのどが渇くような症状として出現することもあります。

のどの異物感・違和感

のどの異物感・違和感
扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎になると、のどに異物感や違和感が生じます。あるいは、逆流性食道炎や初期の喉頭がんでも、似たような症状が出る場合があります。症状が気になるときは、できるだけ早めにご相談ください。

声枯れ(声がかすれる)

喉頭に感染や炎症が生じると声がかすれますが、この場合は、回復するにつれて症状も落ち着きます。一方、声帯結節、声帯ポリープ、下咽頭がん、喉頭がん、反回神経麻痺などの疾患によって声がかすれることもあります。症状が普段より長引くなど気になることがあるようなら、医療機関を受診しましょう。

痰・咳

痰・咳
風邪、急性気管支炎、急性喉頭炎では、症状として1~2週間ほど痰や咳が出る場合があります。これより長く症状が続くときには、慢性気管支炎、咳喘息、喉頭アレルギー、肺がん、肺結核、心不全、血圧のお薬の副作用などが原因で痰や咳が出ている可能性もあります。痰は、粘膜を保護するために気管から分泌される粘液です。通常は多量に分泌されることはなく、自然に胃に流れ落ちます。しかし、細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、この異物を排出しようとして痰の分泌が増えます。外から異物が入り込んだ場合だけでなく、心不全などで体内の水分量が変化した場合にも痰の性質や量が変化しますので、痰の状態にも注意を払うことが大切です。
痰が黄色や緑っぽい、痰の粘度が増した、痰が普段よりも多い、咳がおさまらないなどの症状があるときは、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

痰に血液が混じる

痰に血液が混じっているときは、鼻、のど、歯茎、気管や肺などの呼吸器、食道などの消化器から出血している可能性があります。耳鼻咽喉科では、鼻、のど、口内の出血の有無を検査しますが、検査で異常が見つからない場合は、呼吸器科や消化器科などの専門の医療機関での検査が必要です。症状に合わせて、適切な医療機関をご紹介します。

飲み込めない・飲み込みにくい

飲食物を飲み込むと、のどを通って食道から胃に運ばれます。飲み込みにくさがある場合、原因としては、のどと食道との接続部分で異常が生じている、あるいは物を飲み込むのに必要な筋肉が衰えていることなどが考えられます。例えば、のどの粘膜の炎症、食道がん、咽頭がん、嚥下障害などです。
飲み込みにくさがあるのに無理に食事をすると、場合によっては、飲食物がのどから食道に運ばれず、誤って気管に入ってしまう誤嚥が発生します。
特に高齢者は、誤嚥によって肺炎を引き起こす危険性もあるため、十分に注意しましょう。飲み込みづらい、食事中にむせる、口の中に食べかすが溜まるといったことが頻繁にある場合、当院では嚥下機能の検査もできますので、一度ご相談ください。

いびき

いびきは、睡眠時に気道が狭くなると発生します。気道が狭くなる原因として、肥満、過剰な飲酒、副鼻腔炎などの気道の炎症に伴う腫脹や分泌物の増加、顎の位置などが考えられます。
症状にいびきが含まれる疾患の1つが、睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の呼吸が不十分で脳や全身に酸素が行き渡りません。その結果、高血圧の他、心血管障害や脳血管障害の悪化、場合によっては心不全などの重篤な疾患を引き起こす危険性が高まります。また、睡眠の質が低下し、日中の眠気、集中力の低下、居眠り運転など日常生活にも支障が出てきます。
いびきも適切な治療をすれば改善できますので、いつでもご相談ください。

口腔・のどの病気

扁桃炎・喉頭炎・咽頭炎

扁桃炎とは、のどの入口より少し手前で左右にある口蓋扁桃の炎症です。喉頭炎は、のどの奥のほうで発生する炎症で、喉頭の入口にある蓋が炎症を起こしたのが喉頭蓋炎です。いずれもウイルスや細菌への感染によって引き起こされることが多く、症状として、倦怠感、発熱、激しい咽頭の痛みなどが現れます。のどの所見、迅速検査や血液検査の結果を考慮して、最も適した治療方法を提案いたします。

扁桃肥大・アデノイド肥大

扁桃肥大とは、口蓋扁桃が異常に大きくなった状態です。口蓋扁桃は、3歳前後で大きくなり始め、7歳前後で最大になって、10歳前後で小さくなっていきます。
アデノイドとは、鼻とのどとの間に位置する上咽頭にあるリンパ組織の塊です。生まれたときは未発達で、2歳頃から次第に肥大化し、5〜6歳で最も大きく、以後は10歳頃までに徐々に小さくなります。アデノイド肥大は子どもに多く、アデノイドが肥大しても何かの病気とは限りません。ただ、アデノイドが肥大すると、鼻の奥が狭くなり、いびきや口呼吸を誘発する場合があります。また、耳管が狭くなって空気の流れが悪くなり、難聴の原因になる場合もあるため、注意が必要です。熱の高い状態が続いたときなど、アデノイドの周囲に炎症が生じている可能性もあります。いつもと違うと感じることがあれば、速やかにご相談ください。

声帯炎

声を出しすぎると声帯に炎症が発生し、声枯れが起こります。声枯れについては、できるだけ声を出さないようにして声帯を休め、適切な対処をするだけでも、ある程度の改善が可能です。なかなか治らないようであれば、お薬を使用する場合もあります。

ポリープ様声帯・声帯ポリープ

声帯に炎症が生じていたり、ポリープが形成されていたりするのに治療を受けずにいると、声帯炎から「ポリープ様声帯」に至ります。声帯ポリープは、がん化している可能性もありますので、できるだけ早めに医療機関を受診してください。また、ポリープ様声帯や声帯ポリープでは、お薬による改善が期待できず、手術が必要になる場合もあります。

喉頭がん・咽頭がん

のどの咽頭、声帯、声帯の周辺にある喉頭にも、がんが発生する場合があります。このうち咽頭がんと喉頭がんの早期発見には、内視鏡検査が不可欠です。当院では、内視鏡機器として、ペンタックス社のビデオ鼻咽喉スコープ「DEFINA EPK-3000」を使用しています。同様の目的で用いられる従来の内視鏡機器と比較すると、体内に入れるファイバーが細く、挿入時の痛みが抑えられます。また、高画質の画像によって、細部まで検査できるのも特徴の1つです。検査の結果、手術が必要だと判断される場合は、適切な医療機関を紹介いたします。

咽頭異物

誤って異物を飲み込んでしまった状態を、咽頭異物と言います。お薬のパッケージ、魚の骨、義歯などを誤飲すると、これらの異物が咽頭に引っかかる場合があります。無理に取り出そうとせず、すぐに医師の診察を受けてください。特に魚の骨では、ご飯を飲み込んで取ろうとする人がいますが、逆に骨がのどに深く刺さる恐れもあるため、受診を推奨します。

当院では鉗子付きファイバースコープにより魚の骨の除去にも対応しております。

嚥下障害

飲食物を飲み込みにくい、食事中にむせることが増えた、食後に痰が出るようになった場合は、嚥下障害が疑われます。嚥下障害の主な原因として考えられるのは、咀嚼力の低下、加齢に伴う筋力の低下、神経や筋肉の疾患、不適切な入れ歯の使用、喉頭や咽頭の腫瘍、脳卒中の後遺症などです。原因と思われる疾患を治療するとともに、嚥下内視鏡検査によって受診時の嚥下機能を調べ、一人ひとりに合う食べ物の固さの度合い、トロミの必要性などを判断していきます。食事の形態や食事方法をご自身の嚥下機能に合わせて整えることで、誤嚥せずに飲み込めるように改善します。

咽喉頭逆流症(LPRD)

胃の内容物が食道を超えてのどまで逆流すると、合併症としてのどに炎症が発生します。このような状態が、咽喉頭逆流症(LPRD)です。主な症状として挙げられるのは、げっぷ、咳、のどのつかえ、のどの違和感、飲み込みにくさ、声のかすれです。当院では、PPIテストと呼ばれる検査や内視鏡検査を実施して、症状の度合いを確認します。このうちPPIテストでは、胃酸の分泌を抑える効果があるPPIというお薬を服用します。PPIは、治療でも用いられているお薬です。一方、内視鏡検査では、鼻からのどにかけて内視鏡スコープを挿入し、医師が食道の入口までの範囲を目で見て観察して、LPRDに特徴的な声門下浮腫などの有無を調べます。場合によっては、漢方薬の処方も可能です。また、生活習慣の見直しを指導する場合もあります。例えば、肥満を解消する、飲酒や喫煙を控える、ストレスを減らす、胃酸の分泌を増やす飲食物(カフェイン、赤ワイン、炭酸飲料、チョコレートなど)を摂取しない、就寝直前の食事を避ける、枕を高くして眠ることなどです。これらのことを意識しながら、治療に取り組みます。
気になる症状があるようなら、いつでも当院を受診してください。