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舌下免疫療法

舌下免疫療法

舌下免疫療法 ~ダニによるアレルギーとスギ花粉症の根治に向けて~
舌下免疫療法とは、アレルギーの原因になるアレルゲンを定期的に舌下投与し、アレルゲンに対する応答を少しずつ抑えていく治療法です。この治療法では、ダニやスギ花粉に対する免疫反応の軽減が望めます。舌下免疫療法を長期にわたって続け、アレルゲンに応答しない免疫寛容に導くことも可能です。

舌下免疫療法のメリット

これまで、免疫療法といえば注射が基本でした。患者様にとっては、注射の痛みに耐えなければならず、通院回数も多いため、負担になっていたのも事実です。これに対して、舌下免疫療法であれば痛みもなく、通院の必要がない自宅で治療をすることができます。
特に、次の項目に該当する方に適している方法です。

  • スギ花粉やダニに対するアレルギー治療薬では、満足できる効果が得られなかった方
  • 受験期にスギ花粉やダニのアレルギーが出ないかと心配な学生の方
  • 直近には妊娠の希望や予定はないが、将来の妊娠時にお薬が使えないと困る方

舌下免疫療法の注意点

  • 治療の継続が不可欠です。即効性は期待できません。早い方で3か月程度から差が出てきます。
  • 十分な効果を得るには、少なくとも2年程度、できれば3年以上は毎日お薬を服用する必要があります。治験の時のデータでは3年、市販後の現在の最新データでは4年間の内服が望ましいとされています。
  • 誰にでも有効だというわけではなく、効果には個人差があります。
  • 効果が出るのは、服用した患者様の7~8割です。

期待される効果

  • 生活の質(QOL)の改善
  • アレルギー治療薬の服用量の低減
  • 鼻水、鼻詰まり、くしゃみの緩和
  • 涙や目のかゆみの緩和

舌下免疫療法の対象者

  • 少なくとも1ヶ月に1回は受診が可能な方
  • スギ花粉やダニに対するアレルギーがある5歳以上65歳未満の方
  • 医師から指示された用量と用法を守り、毎日きちんと服用できる方

以下の1項目以上に該当する方は、舌下免疫療法の対象外です。

  • 5歳未満のお子様
  • 65歳以上の高齢者
  • 授乳中あるいは妊娠中の方、向こう2~3年で妊娠を望まれる方
  • 重度の口腔アレルギーがある方
  • 口腔内に炎症や傷や炎症がある方、抜歯などの口腔外科手術を受けて日が浅い方
  • 重度の喘息や気管支喘息をお持ちの方
  • ステロイド剤、β阻害薬、抗がん剤などのお薬を服用している方

上記の項目に該当しなくても、治療の対象外になる場合があります。舌下免疫療法を希望される患者様は、医師にご相談ください。

副作用について

  • 消化器症状、ショック症状、喘息発作などの重度の副作用が生じる可能性があります。
  • 頭痛、のどのかゆみ、耳のかゆみ、口内の腫れ、口内炎などの副作用が出る場合もあります。

その他の注意点

  • 年間を通して治療を継続することになり、月々の治療費はほぼ固定です。ただし、治療前の検査には別途検査費が必要です。
  • スギ花粉やダニ以外のアレルゲンに対するアレルギーのある方には、あまり効果が期待できません。
  • スギ花粉に対するアレルギーでは、花粉の飛散量が多い時期や飛散が始まる直前に治療を開始してもあまり効果がなく、安全な治療を実施できない恐れもあります。ダニに対するアレルギーには、いつでも治療を開始できます。

治療の流れ

1問診と検査

治療の前提として、スギ花粉症とダニアレルギーの一方または両方の診断が必要です。治療の対象になるか否かを問診で確認しますので、過去(直近2~3年)に診断を受けた方は、アレルギー検査時の結果票を持参してください。

2治療についての説明

治療計画として、使用するお薬、服用間隔、起こり得る副作用について説明します。ひととおり説明を終えた後に、患者様の意思を再確認いたします。

3投与開始

1回目は、必ず当院で投与します。投与後、副作用の有無を含めて30分ほど院内で経過を観察します。問題がないようであれば翌日から自宅での服用に切り替え、1週間後に再度受診してください。

41週間目以降の容量漸増

副作用の有無、投与部位の異常の有無、患者様の全身状態を確認します。治療を続けても支障がないと判断された場合も、1ヶ月に1回は受診してください。

5毎月通院しながら治療を継続

副作用の有無、投与部位の異常の有無、患者様の全身状態を確認します。必要に応じてアレルギー治療薬も併用し、症状を抑えることも可能です。舌下免疫療法のお薬を2年ほど続けて服用し、治療効果が十分に現れた方には、治療を1~2年延長することを推奨しています。効果が見られない場合、治療方法の変更を視野に入れます。